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原発が嫌なら対案を…は「まやかし」だ

何か最近、原発を推進したいとする向きがとても元気になっている気がするので、もう一度書きます。当ブログの趣旨から離れますがご容赦を。

石原東京都知事が「原発に反対するなら対案を出せ」と言ったためか、同じようなことを言う人が増えましたね。

じゃあ、俺はこう返したい。そんなことを言うほど原発は立派か?と。



忘れている人が多いみたいなので、よく思い出してください。3月14日からしばらく計画停電が続きましたが、なんでそうなったか。

発電所を止めなければならなかったからですよ。

もちろん、それは原発には限りません。火発も止まりましたし、福井新聞によると茨城県沖の風車も止めて検査をしたとされています。

風力発電フル稼動、被災地支える 三谷商事、地震耐え無傷 社会 福井のニュース :福井新聞 (ウェブ魚拓)

しかし、原発は決定的な違いがあります。火発なら燃料供給を止めてしばらく待てば炉の深いところまで人が入って検査することもできるでしょうが、放射能のある原発はそうはいかないこと。だからこそ、火発は早いものは数ヶ月で再稼働していたのでしょう。原発は、まあ再稼働への政治的ハードルもあるかもしれませんが、じゃあそれがなかったら節電令の出た去年の夏に女川や福島第二、東海第二が再稼動できたかといえばそうじゃなかったでしょ。現に、女川原発では今頃になって去年の地震の影響が発見されたりしていますし。

女川原発:3号機の燃料カバーに損傷 地震が原因か- 毎日jp(毎日新聞) (ウェブ魚拓)

これだけでも、原発は日本の電力の安定供給に資する、という話に疑問符が付くのは明らかでしょう。思い出してください、日本は地震国です。そのくせ何故か、原発は特定の地域に集中する傾向にあります。地震に襲われた地域の原発は、事故らなくてもとりあえずは全部止まります。地震の影響を調べるのに時間がかかるなら、再稼働はその分だけ遅くなります。そんなものに依存することが、いかに危ういことか。これは短期的な話。



次は中長期的な話を。原発の燃料であるウランは実は貧弱な資源である可能性があります。核燃料になるウランはウラン235という同位体のひとつですが、地球上のウランの99パーセント以上は核分裂しない同位体ウラン238であり、ウラン235は0.7パーセントしかありません。これは予想される埋蔵量の熱エネルギー換算で化石燃料の数分の一から数十分の一などと言われています。それでもなお原子力が有望なエネルギー源と考えられていたのは、おそらくは「増殖」と言われる原子力特有の現象のためでしょう。

例えば、自動車の排ガスを回収すると、ガソリンを燃やして得られるエネルギーを超えるエネルギーが得られるとしたら。もちろんそれはありえないことですが、原子力に関してはそれに似た話があるのです。ウラン235等の核燃料の核分裂から発せられた中性子がウラン238に吸収され、その結果核分裂性のプルトニウムに変わるということがあるのです。で、消費された核燃料を超える核分裂性プルトニウムを得ることを、「増殖」と呼びます。もし全てのウラン238をプルトニウムに転換できるなら核燃料は100倍、半分だとしても50倍あることになります。

しかしこの増殖は従来型の原子炉ではできません。どの型でも生成されるプルトニウムは消費される核燃料の量を下回ります。そのことは昔からわかっていたので、原発を推進していた国はほとんど、増殖可能な原子炉の研究をしていました。いわゆる「高速増殖炉」です。たぶん60~70年代は、間もなく従来型の原発はすべてこの高速増殖炉に取って代わられると考えられていたのでしょう。だからこそバラ色の原子力の未来が描かれていたと思われます。

ところが現実はどうでしょう。研究開始から50年は経っているにもかかわらず、高速増殖炉が商用化した例はありません。どころか、多くの先進国は研究を中止しています。米国にも、英国にも、フランスにも、ドイツにも、スウェーデンにも、この型の炉は現存しないと聞いています。日本にはもんじゅと常陽という研究段階のものがありますが、どちらも長期間止まっています。

一応注意しておきますが、これは東日本震災のせいではありません。なんでも、冷却材が金属のナトリウムであることが問題解決を長引かせる要因のようです。ナトリウムは金属の状態では融点が低く、原子炉内では液体になります。そして金属なので熱伝導性が高く、水に比べ中性子吸収能や減速能が低いため、高速炉の冷却材としてよく選ばれるものですが、我々の回りにナトリウム化合物があっても金属のナトリウムがないことからもわかるとおり、金属の状態では極めて不安定で、酸素や水に接触させることは厳禁とされるものです (特に水と接触すると反応して水素を放出するため、水素爆発につながりかねない) 。ですから、トラブルが起こったのでふたを開けて調べる、ということさえ容易にはできません。例えそれができたところで、水と違って不透明なので、やはり検査は難しいものになります。

現に、常陽は2007年から、もんじゅは運転開始間もない95年から2010年まで、そして2010年の再稼働もたったの四ヶ月で事故発生により中断し、現在まで停止したままです。2010年の事故は炉内中継装置というものが落下したというものだったのですが、その落下した中継装置の回収に成功するまで一年近くかかっています。

はたして増殖はできるのでしょうか。できなければ原子力は化石燃料の代替はできないと考えるべきだと思われます。例え、この「高速増殖炉」が実現できたとして、じゃあどうしましょう。トラブルが頻繁に起こり、それによって五年や十年平気で止まってしまう高速増殖炉が、本当にエネルギーを安定供給してくれるんでしょうか。



原発の話が主に安全性になっていることに俺は強い違和感を覚えます。安全性の話をするということは、エネルギー源としては有能であることが前提ですよね。

そう、できれば安全性の話はしたくなかったのだけれど、高速増殖炉には一つ。大きな災害があれば複数の冷却機能を同時に喪失してもおかしくないということは、東日本大震災の教訓として我々が学んだことです。福一では外部にからポンプで水を (淡水が不足すれば海水さえ) 送り込んでいましたが、高速増殖炉ではどうするのですか?先ほども言ったとおり、水は注入できませんよ。



さて、対案を俺は出していません。そうですね、超短期的に見れば火発の増強しかないでしょうね。東電はこの一年間で火発の発電量を、もともとあった増設計画を前倒ししたり、ガスタービン発電機を設置するなどで大幅に増強しているんですよね、どのくらいだったか忘れましたが。だからこそ関東はこの夏電力不足の予想がないのです。

関西も同じようにやればよかったのでは、と俺は思います。まあもっとも、関東は火発の環境アセスメントについて特例があったそうで、だからこそ火発の増強が可能だったという話も聞きますが、じゃあなぜ、原発を建てたり動かしたりとあれだけロビー活動のできる電力会社が、うちもその特例を適用しろと騒がなかったのでしょう。それで「原子力は必要、嫌なら対案を」ってなんかあまりにも意地悪な話ではありませんか?

あとは、中長期的に見て、再生可能エネルギー…笑っていられる人はいないはずです。いずれにせよ我々は、そう遠くない将来、化石燃料も核燃料も満足に手に入らない時代を迎えます、これは避けられないことです。その前に、まだ枯渇性エネルギーに余裕のあるうちに、再生可能エネルギーで文明を維持する方法を探るべきではないでしょうか、そろそろ真剣に。余裕がなくなってからでは遅い可能性があります。

それをしなければ、我々の子孫は、彼らに残されたわずかなエネルギーを割いて、我々の残した核廃棄物を管理し続けることになるのでしょうね。…なーんか、大人のモラルハザードここに極まれり、って感じがしません?

さあ、原子力推進派の方は、これにどのような対案を用意してくれるのでしょう?

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テーマ : 原子力問題
ジャンル : ニュース

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はじめてお邪魔しますが

意地悪な話ですね。

Re: はじめてお邪魔しますが

ゆず湯さん、はじめまして。コメントありがとうございます。

「意地悪」というとなんだかかわいい表現になっちゃいますね。
意地の悪いことだ、と言いたかったのです。

No title

先日のデモを見て思った。「流行に乗りたいだけの人が多い」

止めたいなら「どうやって止めていくか」をしっかり考えないと。


こういう方々が増えてこないと結局原発問題も「流行りもの」止まりですね
ttp://togetter.com/li/337930

Re: No title

通りすがりさん、ご意見ありがとうございます。

まず、私も昨年からの原発反対ムードが「流行」的なものであることを危惧している一人です。流行が終わってしまうことを危惧している点で。

ただ、御紹介いただいたツイートはあまり感心しませんね。人のことを理性的でないと言っていながら、彼も理性に基づいた発言をしていません。もうちょっと勉強された方がよいのではないでしょうか、この方も、こんな程度のものに感心する人も。

原発は「拙速」に止まったのではありません。被災しなかった原発は、従来どおりの基準で定期検査に入っただけです。ただ、従来どおりの安全基準で安全を確保できないことが分かったので、再稼働が遅れていました。当然のことです。

「風評に苦しむ人たち」と言いますが、一番人を苦しめているのは起きないということにされていた原発事故そのものです。論点をすり替えてはいけません。風評はあくまで二次的なもの。

また、世間には風評とは言いきれないものまで「風評」としたがる向きもあるように俺には見えます。それは俺のバイアスと言われるかもしれませんが…彼は、放射能に対する不安を「不必要」と言いきっています。

原発反対派の中に差別をするものがいるなら、俺はそれを恥じます。また、敵を作って叩く向きがあるのならそれを恥じます。しかし、異常なまでに原発に固執する向きがあるのは事実でしょう。今までの安全認識が誤りであると分かった (あるいはすでに分かっていた) にも関わらず、それを隠蔽し、あるいは論点をずらし、過小評価を続けようとする向きが。俺はそれをみている限り原子力政策に与する気持ちにはなれません。

俺がもし「原子力ムラ」という言葉を使うときは、それは「最終的に目指しているゴールは同じものを見てい」ない人を指します。短期的な利益のために、未来を犠牲にすることを厭わない人です。このような方々があまりに多い状況では、理性的に今後を語り合うことはあまりに難しいのではないでしょうか。

Re: No title

ちなみに以前書いたことですが…自分の頭で考えないのはよくないことですが、流行だ、あるいはもっとひどい集団ヒステリーだとしても、その流行や集団ヒステリーの向いている方角が必ずしも間違っているということにはなりません。例えばフランス革命とか。多分に集団ヒステリーの要素はあったでしょうね、でも歴史的意義までは否定されません。

あと一つ付け加えるなら、ブログの記事を読んで、その内容にコメントをください。お願いします。以上です。
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